松阪牛せんべい
製造元 (株)三重だいいち
諸元 松阪牛使用の揚げせんべい
Junk Point 粒牛
備考 人間の味覚は3歳までに完成し、40歳で衰え始めるという。
「キレる子供」の要因のひとつが食事であるという仮説は、未だ完全なる科学的検証を経ていないが、例えば「マヨラー」と呼ばれる中毒患者群や、あるいはもっと切実な「幼年生活習慣病」患者などが、現代人の食生活によって培われた味覚の異常と密接に関わっているという事実は衆目の一致するところであろう(かく言う筆者の次男も、1歳の誕生日前後に慢性腸炎を患い、「濃縮アミノ酸ドリンクおかゆ」という筆者オリジナル(?)の言迷な食事(『ビイレバーキング』を白かゆにかけたもの)を1ヶ月ほど続けて以来、極端な偏食家になってしまった)。
人生の冒頭に口にするものはその人の一生を規定するといっても過言ではない。だからこそ親としては子供に食させる物を慎重に吟味しなければならない。
だが、だからといってただ単に高価な美食をさせればいいというものではもちろんない。「親心」というのはわからないでもないが。
かつて親に連れて行ってもらった寿司屋で好きなものを頼めと言われて、
「えーと...うにとぉ、イクラとぉ、上トロとぉ....あとタマゴね」
とブチかました小学生の筆者であった。
ラストが餓鬼のチープなグルマン志向を露呈しているが、これをもし築地辺りの江戸前寿司でやったなら、カウンター越しに胸倉掴まれた挙句に、至近距離からのゲタ爆弾反復攻撃を食らって、まず生きて還れる可能性はなかっただろう。
だが幸いなことに筆者がいた場所は、おだやかな湖北の港町の、これまた新興宗教団体の幹部だと噂されている温厚な大将が経営する静かな寿司屋であった。
そうして幸運にも現在まで生き延びた筆者は、相変わらず両親をスポンサーに先日その寿司屋を訪れた。
変わらぬ温厚な大将と、変わらぬ優しい若ェもん(....ではなくなってたが、顔が同じだったのがチョット怖かった)が迎えてくれたお座敷で、四半世紀前の筆者と同じようにイクラの軍艦巻を貪食する怪獣ドモを横目に見ながら、申し訳程度にイカなどを1、2個つまみ、赤出汁をすする筆者であった。
今柿の種を3袋食いながらこの文章を書いている筆者、そんな自分にこのような名産パクり商品はお似合いだと思うのである。
なお撮影にあたり、焼肉の雰囲気を出すためにThinkPad535にご登場いただいた。てらてらと光るパームレスト(筆者の手のアブラによる)が、霜降りの松阪牛から滲み出る肉汁を想起させ、なかなかに美味そうな雰囲気を醸し出している。

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