Tiger炭焼珈琲/ブラック/ビタタイガー
製造元 言迷
諸元 たてじま
Junk Point コテコテ
備考 筆者の学生時代、徳島県生まれの生野区民である同級生が、自宅近くで購入した「なにわ」ナンバーの車(普通のカローラセダン1300cc)を筆者に見せ「このナンバー見てナメとったらあかんで。大阪では普通にクルマで走ること自体がバトルなんやから」と誇らしげにスゴんでいた。
そんな彼は、オートマのそのクルマでなぜか坂道発進に失敗し後ろの車に激突、おまけにそのクルマが某自由業な方だったり、買ったばかりの当時最新鋭のバイクをわずか1週間で全損したりとエキサイティングな日々を送っておられたが、「闘いを至高」とする彼だからして、そうした事象が自然に擦り寄ってくるのではなかろうかと皆が噂していたものである。

それはともかく、彼の言質、あるいは存在そのもののせいか、筆者は永らく大阪へクルマで出かけることが躊躇われていた。
なにせ予測不能の行動を取る大阪人のことである。勝負となったら何をしでかすかわからない。無理な追越しをかけたら窓からタコ焼きを乱射してくるかもしれない。あるいはコーナーリング途中にフロントウィンドウめがけてマヨネーズをブチ撒けてくるかもしれない(...それはヤンキーの技か。あ、でもヤンキーは大阪原産だ)。

しかし先日山陰へ出かけた折、筆者は怖いもの見たさもあって初めて阪神高速環状線に乗り入れた。

....拍子抜けだった。

その日は取締りが厳しかったし、また週末の深夜で、首都高C1と同じく県外組が多いということもあったのだが、予想外のお行儀の良さで、銭亀のような筆者の滋賀ナンバーワゴンRがスルスルと流せる程度の心地よい流れであった。せいぜい神戸ナンバーのR32が爆音を上げながら、覆面の顔色をうかがっていた程度である。あれならC1や3号渋谷線のほうがよっぽど激戦区である。

要するに、何事も頭から決めてかかってはいけないということだ。

北海道民の全てがジンギスカン鍋をもっているわけではないし、青森県民の全てが成人の通過儀礼に日本キャニオンからバンジーダイブするわけではないし、岩手県民の全てがお食い初めにわんこ蕎麦を100杯食うわけではないし、秋田県民の全てがマイ塩汁をバッグに忍ばせているわけではないし、宮城県民の全てが美人でないわけではないし、山形県民の全てが冬は雪合戦、夏は桃合戦をして暮らすわけではないし、福島県民の全てが温泉に入りながら臭い物と辛い物を食っているわけではないし、新潟県民の全てが宴会の残り物を翌朝煮て食うわけではないし、栃木県民の全てがバンダナ巻いてランエボに乗ってるわけではないし、茨城県民の全てが健康にいいと信じてアンキモと納豆を毎朝食ってるわけではないし、群馬県民の全てが弁当箱にダルマを使っているわけではないし、埼玉県民の全てがスーパー戦隊シリーズを好きなわけではないし、千葉県民の全てが亜空間につながる胃と24時間連続稼動可能なカルノーサイクルを装備しているわけではないし、東京都民の全てが神田の隣で途中下車するわけではないし、神奈川県民の全てがリーゼントで130kmのストレートを投げるわけではないし、長野県民の全てがフリスビーをおやきで作っているわけではないし、静岡県民の全てがカニが嫌いなわけではないし、愛知県民の全てが衣の中に味噌を挟まなければフリャーでないと信じているわけではないし、富山県民の全てが手こねの薬草に10倍の値段をつけて売っているわけではないし、石川県民の全てが必ず1度は雪崩に家を破壊された経験が有るわけではないし、福井県民の全てが自賠責にもはいらず、無車検の車に乗っているわけではないし、滋賀県民の全てが鮒寿司を「腐ってない」と言い張っているわけではないし、三重県民の全てがヘドロの底からハマグリを漁っているわけではないし、京都府民の全てが「ぶぶ漬けゴーホーム!」と叫んでいるわけではないし、奈良県民の全ての前歯が出ているわけではないし、和歌山県民の全てが鯨を飼っているわけではないし、兵庫県民の全てがルミナリエに行列するわけではないし、岡山県民の全てが吉備団子を主食としているわけではないし、広島県民の全てがヤキソバとお好み焼きの見分けがつかないわけではないし、鳥取県民の全てがスポーツドリンクの主原料は梨だと信じているわけではないし、島根県民の全てが「不味い」を「ふまい」と読むわけではないし、山口県民の全てがテトロドトキシン耐性であるわけではないし、香川県民の全てがマジェに乗って寛永通宝を投げているわけではないし、徳島県民の全てが駅前でチクワを売っているわけではないし、愛媛県民の全てがポンジュースでご飯を炊いているわけではないし、高知県民の全てが大回転魔球を投げられるわけではないし、福岡県民の全てが日曜日を「どんたく」と呼んでいるわけではないし、佐賀県民の全てが干潟の泥で産湯を使ったわけではないし、長崎県民の全てが給食のパンにカステラを食っているわけではないし、大分県民の全てが50℃の風呂に入っているわけではないし、熊本県民の全てがラーメンに麺と等量のキャベツをブチ込むわけではないし、宮崎県民の全てが洞窟の前で宴会をしているわけではないし、鹿児島県民の全てが冬に降るものは「灰」だと思っているわけではないし、沖縄県民の全てがパイナップルを茹でて食べているわけではない。(*)
同様に、全ての大阪人が2人寄れば漫才を始めるわけではないし、なにわナンバーだからといって運転が乱暴なクルマばかりではないということなのだ。

しかしながら「タイガース」「虎」という言葉にまったく無反応な大阪人は存在しない。たとえ地球が逆に回ることがあったとしても、こればかりは動かしようの無い事実だ。
ここに挙げる3商品は、そうした大阪人限定の集合的無意識に付け込んだ、無数に存在する便乗商品の一つにすぎない。....そう断定してよいであろう。

十把一絡げ、というか三本一絡げでサラッとご紹介するのはそうした商品であるということが理由なのであって、面倒だとか、長文過ぎて紙面が尽きたとか、飽きたとかいうような理由ではないことをここに銘記しておく。



(*)「山梨県民の全てが老若男女を問わず軍事教練を課されている」のは事実であるので除外した。
(筆者知人Sの証言)

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