ルンダン
製造/販売 株式会社フードサービス(名古屋市中川区玉船町2-1-27)
/合同会社チャンバーズ・オブ・スパイス(渋谷区酉原2-27-4)
諸元 名称:カレー(...なの?)
原材料名:鶏肉(手羽もと)、玉ねぎ、食用調合油、ココナッツミルクパウダー、ココナッツロング、レモングラス、おろししょうが、ガランガー、おろしにんにく、スターアニス、ココナッツオイル、タマリンド、食塩、カイエンペッパー、ターメリック、カルダモン、砂糖、シナモン、カフィアライム(一部に乳成分・鶏肉を含む)
内容量:180g
栄養成分表示(1袋180gあたり)エネルギー:444Kcal、タンパク質:14.9g、脂質:34.4g、炭水化物:17.7g、食塩相当量:1.6g
口上:「東京は荻窪で2000年創業の人気マレーシア料理店《馬来風光美食》がルンダンを監修。マレーシアの美食のキ イポー出身のエレンシェフこだわりの本格中華系マレーシア料理をお楽しみください。」
Junk Point 食物繊維タプーリ


パッケージ裏面と無地レトルト。

人が初めて異文化に触れた時に、その存在をどう自分の意識の中で咀嚼し、受容するのか。
多くの方の場合、自らの所属する文化圏に類似の(当人にとってそのように思える)事象を重ね合わせるのではないだろうか。

明治時代、中国の「麺」を日本国内で初めて提供した「来々軒」では、当時「南京蕎麦」などと、奈良時代に日本に伝来し、戦国時代後期に麺の状態で食すことが始まった別系統の麺料理の名前を冠していた。

一方、せんべいやあられなど日本の米菓子、あるいは菓子と呼べるか不明瞭な丸餅なども、英語圏では「rice cake」と呼ばれている。
日本人である筆者には、どうも違和感のある呼び名であるのだが、そちらの文化圏に存在する「穀類を粉末にして練り、再度整形した食品」という観点からすると、"Cake"としか表現のしようがないのであろう。

こうした異文化側から見ると違和感を伴う咀嚼と受容は、ともすると「受容される側からの嫌悪感」をもたらすリスクも内包していると言えるのだが、大抵は笑って済ませられるような形に落ち着くといえるのではないだろうか。
1980年代から日本国内に増殖し始めた「pension」は、西洋形式のサービスをウリにしていたこともあり「洋風民宿」と呼ばれることがあったと記憶しているが、後に「和風ペンション」などというモノも出現し、原理原則からズレていくというか、新たな世界を形成しているというか..そうした混沌に向かっていくケースもあるのだと思う次第だ。

熱湯5〜7分加熱
鶏手羽元以外はほぼ繊維(笑)

本品はマレーシア料理の一品「ルンダン」という。

「ルンダン」は「ルンダン」、それ以上でも、それ以下でもない。

そのはずなのだが。

本品の品名に、簡潔明瞭な記載がある。

『カレー』
と。

...まあ、大陸としてはつながっていないことはないんですけどね。

実際「カレー」と評して差し支えものなのか、それとも寿司を"rice cake"と呼ぶほどに、表現と実際が乖離していることなのか。

早速温めて食してみる。ちなみに形のある具は鶏手羽元ひとつだけらしい。シンプルな形態だ。

まず感じるのは、アニスの甘い香りだ。
印度のカレーにも入っているとは思うが、こちらの方がかなり香りが強い。
そして、それに重なる形で、ショウガの香りが追いかけてくる。

で、口にしてみる....「なんか繊維だらけだ」

カレーの滑らかな口当たりとはだいぶ異なり、溶けきらない頑丈なハーブの繊維が、ペーストの中にかなり残っている。
辛味はというと、筆者が満足するほどには辛い(ということは、かなり辛い。筆者のパートナーが二口以上食べられないぐらいには)。辛いのだが....これもカレーの「唐辛子辛い」のとは趣を異にしていて、「ショウガ辛い」6:4「唐辛子辛い」といった感じがする。
なので、いつまでも口の中が辛い(痛い)ということはない。現に、とにかく辛味が苦手な筆者のパートナーが「辛味さえもう少しマイルドだったら美味しい」と言っている。アニスの風味とも合わせて、女子には受け入れやすい味の一品なのかも知れない

筆者としては、これが「カレー」か...といわれると、正直微妙なところだ。しかしこの味は十分に受容可能な「異文化の味」だと思う。
ただし、一般的な日本人に受け入れられるかどうかは、その方が「強烈なショウガ味」と「やたらと繊維が多いペースト」をOKとするかどうかにかかっているように思われる。

....マツコさんはダメだったみたいだけど。



女子にはアニスやタマリンド風味と温食がウケそう
(但しマツコさんを除く)
(2019/3/29購入、2019/04/30記)

Junk Junky