El Volcanコーヒー |
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製造元 | プレス・オールターナティブ |
諸元 | グアテマラ豆100%コーヒー |
Junk Point | 味と香り |
備考 |
「味は味覚と嗅覚の複合知覚で認識される」 ....この冬にこの事実をネガティブな意味で実感された方は多いだろう。 風邪を引いて鼻が詰まる、鼻粘膜が炎症を起こす。その結果、臭いがわからないままに食事をして『ぬんぢゃこるりゃあぁぁぁっ』と松田優作ばりの慨嘆をブチまけることになるのだ。 以前にラジオの教育番組で、出演したフレーバリストが単なる砂糖水に酸味料(クエン酸)と香料を添加して「無色透明なオレンジジュース」に変え、ゲストの中学生たちの驚嘆を誘っていた。 [味=味+香り] この一見矛盾した、しかし基本的な公式を、つい我々は日常の中で忘れてしまうのだが、ある時不意に思い出す場面に遭遇することになるのだ。 さて一方、狭義の「味」はというと、一般的に大まかに5つに分けられる。「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(塩味)」である。 このうち、酸味と辛味は他の3味にない特徴をもっている。「揮発性」則ち「香り」ともなり得るという性質である。 特に酸っぱいと感じさせる物質、つまり「酸」には揮発性のものが多い。柑橘系の酸味しかり、発酵食品の酸味しかりである。 この5つの味をどう組み合わせたら旨みになるか。何千年もの間人間の根源的欲望を追及してきた東洋の超大国の人々は色々試した。そして結果、「一つ飛ばし」が相性がいい....ということに気がつく。 曰く、酸味+甘味=果物の味わい 曰く、苦味+辛味=春の野草の芥子和え 曰く、甘味+鹹味=塩少々で甘味が引き立つ 曰く、辛味+酸味=唐辛子の辛味を酢で調整 曰く、鹹味+苦味=苦汁入りの塩はまろやか ....こじつけに思えなくも無いが、一応スジは通っている気がする。 で、そうでない組み合わせのトビッキリが、この缶コーヒーである...と筆者は思うのだ。 ヘビー缶コーヒードリンカーである筆者は、小椋・木下両氏情報に触発されていてもたってもいられず、某ルートでこの言迷な店舗に陳列されていたコーヒーを入手してみた。 その味は売り口上に偽り無く、深煎りのスモーキー且つ腰の座った苦味に、グアテマラ・エルボルカン農場産出豆独特の強烈な酸味を伴ったものだった。 酸味+苦味。 さあ、貴方はどんな物....いやいや、どんな液体を想像するだろうか。 透明で、止め処なく湧き上がってくる、重厚な苦味と、歯をも溶かすが如き強烈な酸を併せ持つあの液体。 ....ぼちぼち、みぞおちの辺りが重くなってきたのではないだろうか。 |