CHILLOUT RELAXATION KOLA
製造/販売 えひめ飲料東京工場(神奈川県厚木市緑が丘5-18-2,製品URL)/株式会社I-ne(大阪市中央区船場4-11-20)
諸元 名称:炭酸飲料
原材料名:果糖ブドウ糖液糖、ヘンプシードエキス、コーラナッツエキス、ホップエキス、ギャバ、炭酸、香料、カラメル色素、酸味料、テアニン
内容量:185mL、栄養成分表示(100mLあたり)エネルギー44Kcal、タンパク質0g、脂質0g、炭水化物11.1g、食塩相当量0.02g
(欄外)カフェイン00mg、GABA22mg(製造時)
売り口上『リラックス状態は”アイディア”が生まれやすい/「安らぎ」と「クリエイティヴィティ」をサポートする次世代リラクゼーションドリンク【CHILL OUT】』
Junk Point 元気出ませんよ(キリッ)

先に「この『CHILL OUT』は全くドラッグの類とは無関係の清涼飲料」であることをお断りした上で、マクラに入らせていただく。

筆者が「酒・タバコ(・・・は長期的には[肺がんなどで]戻ってこられないこともある)」「神ヲタ」「腐女子」「除草」「ピアッシング」など「戻ってこられる人生の逸脱」にたいし、「非可逆的逸脱」と断じて全否定するドラッグだが、20世紀末ごろには、中毒者に占める使用薬物の割合が、社会環境によって異なるという報告があった。

同じように緊張を強いられる社会への適合からドロップアウトしつつある人であっても、自分に無理して適合しようとする生真面目な日本人では発揚系薬物(覚醒剤など)に溺れる方が多く、一方で自由主義が徹底しているアメリカでは、社会から離脱して魂の平安を求めるために鎮静系薬物(ヘロインなど)の中毒になる人々が多いとのことだった。

最近の薬物中毒レポートをみる限り、この傾向は現在でも続いていると推測される。

Coooolなメタリックシルバー缶
思いっきし撮影者が映り込むので結露を待って撮影

ただ一方で(こうした極端な薬物中毒例以外の)「気持ちを整える医薬品やサプリメント」においては、最近やや違った傾向もみられる。
本製品の提灯記事をみると「創造性はリラックス状態から生まれる」という考えが広められつつあるのだ。

もちろんこの推論は、多くの創造的な取り組みを行っている方が首肯するところでもあるだろう。
しかし一方で、こうした医薬品やサプリメントの服薬/摂取目的は「いったい誰のためのリラックスなのか」という問題を内包しているであろう。緊張をほぐすのはまさに自分自身の生活の質を高める為にのみあるのであって、「創造的な活動によって社会に適合する」のはその副次的効果にすぎないのではないか。
裏返して言うと「○○を摂らないで緊張したままの日常を送っていると、創造的な活動を行えませんよ(=(経済的・文化的両面から)社会に適合できませんよ)」と脅迫しているようなもののように思えてしまうのである。

....で、筆者がやほポチしたこの「CHILL OUT RELAXATION KOLA」だが、これを飲んで「日々の緊張をやわらげ、創造的活動をしよう」と思っているわけでも、ましてやそれによって社会に適合しようと志向したわけでもない。強いて言えば、このレビューという「創造的活動(笑)」のネタというところだ。

恐らくかつてはこうだったと思われるコーラ味
(非コーラ(original)版も存在する)
Do you wanna chill out with me tonight?

本製品を紹介しているBlogを拝見すると「アメリカで大流行のリラクゼーションドリンク、日本初上陸」とのことだが、筆者が知る限り、同類の飲料は「レモリア」などいくつかの例が以前から存在したと記憶している。

....が今日、コンビニのドリンクコーナーで幅をきかせているのは赤ベコや怪物といったエナジードリンク達だ。
つまり...そういうことなのだろう。

昨年に発売された本品だが、当初は(今も?)販売チャネルを絞り込んでいた模様だ。
ネット上の記事を信頼するなら「サーフィンやスケートボードを扱うショップ、アパレルやレコードショップなどを中心として、ちゃんと商品イメージとマッチしたお店のみ」となっている。Village Vanguardがイメージと合っているのか....どうかはよく判らないのだが。

サプリメントで、鎮静に用いられる等とされるGABAが40mg含まれている。
低用量内服で鎮静に効果があったとされる治験もあるようだが、理論的には内服で代謝を受け、更にBBBを通過できないことを考えると、直接的な効果は期待できないと考えるのが妥当であろう。
もう一つリラクゼーション効果を期待して含まれている成分はL-テアニンだ。
こちらは50mg摂取後30〜40分で、不安傾向の低い一般の方にα波発生が認められたという記述があるが、本製品中の含有量は記載されていない。
これ以外に、表示されている植物由来成分は3つ。ヘンプシード(麻子仁)、コーラナッツエキス、ホップエキスだ。
ヘンプシードは産業用大麻(マリファナの有効成分であるTHCが殆ど含まれない品種)の種。漢方ではゆるやかな下剤として使われる。ホップはサプリメントや医薬品でも鎮静系の生薬として用いられる。
この2つはまあわかる。コーラナッツエキスは....主たる有効成分が「カフェイン」なのだが、本製品はカフェインフリーとなっている。カフェインレスコーヒーみたいなものだ。ステインの色と、香りだけを活かしているものと思われる。

味はコーラ子の香りと味が前に出ている印象。Fenchman's Curiousity Cola に近い味と思う。糖分が多いので、後味はけっこう残る。
”パートナーとchill out”したときは、事の前にちゃんと歯を磨きましょう。そうそう、排便も忘れずに(をい)。

....で、筆者はこのドリンクを頂きつつ、本文章を書いている。
そのリラクゼーション効果が、創作活動に影響を与えた.....かどうかは、読者の皆様にご判断戴きたい。

余談ではあるが、製造者が「愛媛のまじめなジュース」で知られる『ポンジュース』の会社であることは、寡聞にして知らなかった。

Coooolなイメージで売るリラクゼーションドリンクと、「蛇口から出てくる」都市伝説を持つ、ホノボノとした地方特産ジュースのコンビネーション。

失礼かも知れないが、なにやらミスマッチな感じと、結果としてホッコリしたリラックス感を受けたのは筆者だけだろうか。



(2017/08/13記)

Junk Junky