ボンボンアニス(Les Anis de Flavigny)
製造元 Anis de L'abbaye de Flavigny
諸元 Sucre, Arome naturel, Graine d'anis vert
Junk Point C'est gloque?!
備考 今から5,6年前、筆者が某東洋医学系の薬局に勤務していた折、生薬マニアである某有名漢方薬メーカーの学術部所属の方が「中国を含めアジアの生薬はほとんどネタが出尽くした。あとは南米アマゾンに行くしかない」とおっしゃっていた。
日本人の健康志向、というか健康趣味はとどまるところを知らない。しかしながら本当に自分にいいものに出会えた人がどのくらいいるというのであろうか。
「◎◎でXXが治った!!」という提灯本の広告が新聞トップ下段から絶える日は1日も無いと言って良いが、次から次へと泡沫のように消えては現れる健康のイ吏 彳走たちを眺めていると、果たして人々が求める健康とは何か、深刻な疑問を抱かざるを得ない。

大体において「自然成分」=「健康」という図式が大いなる幻想であることは、どこかの馬鹿ドモがこっそり育てている「あっという間に背が高くなり、七味唐辛子の材料や布地繊維の材料にもなる幻覚成分含有植物」あるいは「『車に◎◎〜』と同じ名前を持つ、実に疵を入れると染み出てくる白い液が幻覚を起こすキレイな花」の例を見れば明らかであろう。

一方で、後者の白い液体は成分を精製して、現在でも強力な鎮痛や咳止めとして使用されている。要は「◎◎は体に良い」のではなく「◎◎が体に合う人が、正しい量だけ使用すれば体に良い」のだ。

さて、昨今いろいろな意味で議論の的となっている抗インフルエンザ薬だが(現在の最新報告では、薬によって錯乱が発生した可能性は低いとされている)この薬の主成分の原材料になっているのが大茴香、すなわちこのキャンディに含まれている香料の起原と類似の植物だ。

「ということは....このアメを舐めていれば、風邪が治るかもしれない」

ちょっと考えれば、オセルタミビルは「インフルエンザウィルス」の「感染細胞から他細胞への移行感染」を抑制して、「インフルエンザの」重症化を防ぐ薬であるということは、専門家なら常識だし、そもそも薬の原材料star anisは、香りが似ていて安価だという理由でハーブの代用品にされているだけで、anisとは別系統の植物である。
だが...遠出を明朝に控えているというのに、げし三昧で夜更かしし、あまつさえ風邪の初期症状で加熱された筆者のアタマは、そうした知識をどこへやらに落としてきてしまったらしい。

カミサンが誰かにもらった、この仏地方村落の風景を描いたホノボノとしたパッケージの缶をこっそり開け、数粒を口に放り込んだとき.....「う"っっつ」

錯乱には至らなかったが、顔面硬直するには十分な味と香りだった。
しかも問題は、含有物の最後のヤツ。そう、"Graine d'anis vert"....茴香の種がそのまま入ってやがる。

苦虫...ではなく、まずもって日本人の味覚と嗅覚には合わないであろうその種を噛み潰しながら、筆者は思った。

「寝るのが一番だ。」

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