短期集中連載(笑)![]()
−この物語は、フィクションである(?)−
その73
木下隆雄「先日、撮っておいたF1のビデオを子供と一緒に見ようとかけたら、OPテーマの『Truth』を聞いた家内が、”あれ、これ(自分の職場の)『クリ〇イトドラッグ』の歌だ”なんて言い出しまして、説明するのに苦労しました」
小椋良二「マニアの貴方の奥さんらしからぬ発言ですな、ある意味天然ともいえますが....」
木下「しかし四六時中店内で流されてる曲を聴いてれば、そう思い込むのも無理はないでしょう。パチンコ屋の『中曽根康弘のテーマ』みたく」
小椋「いまどきそんなものかかってないですよ。トレンドはパラダイス山元の『パチンコマンボ』か、憂歌団の『パチンコ』です」
木下「貴方の行ってる店がコア過ぎです」
小椋「しかし『本質剥離』とでも申しましょうか、本来そのものが意味するところから大きく逸脱して、いつのまにかそれが大衆に認知されてることって結構ありますよね」
木下「例えば?」
小椋「ほら、貴方のご子息が『救急車だ!』『護送車だ!』とおもいっきし指差し絶叫するアノ筋の車のマークですけど・・・」
木下「あーあれですね....かのメルセデス博物館に所蔵されている戦前の御料車『メルセデス770Kグロッサー』ですら不敬を畏れて17枚の花弁にしているのに、堂々と18枚の巨大な御紋を書いてる、でも中身はベコベコ鉄板のライトエースだというあれですね」
小椋「そうそう、こないだみかけた車両には頭部が金色の御餓鬼様がご乗車遊ばされてましたけど、さぞかしやんごとなきご身分なのでしょうな、あるいは御落胤をお寄せ集めになったキメラとか。どうせなら直列8気筒OHV7655ccのダイムラーエンジンくらい御搭載になってみろっての」
木下「そういう死命を賭したツッコミは管理人さんに任せるとして....今の御料車というと何でしょう」
小椋「言うまでもありませんな、『お召し1号』御料編成です。遠軽機関区の扇形庫になかば静態保存されているスエ78や動態保存のマイテ49と同様の3軸ボギー台車を持ち、通常牽引にはこれも御料指定の品川機関区EF5861が牽引するという正統マニア垂涎の車両ですな。マニアのみならず機関士にとっても牽引運転以前に編成担当直後の卵連結は一生語り継げるほどの名誉とされ....」
木下「....貴方なら確実にそっちで突っ走ると思っていました」
小椋「違うのですか?」
木下「あれは帯広区のスエ78でしょう?あんなのとっくの昔に廃車になって、今は高崎区に一両あるだけですよ、それにEF58だって定期運用からは完全に外れてますし、いまや御料車といえばこれです」

小椋「・・・・」
木下「どうですこのハイテクVVVF制御車両、新時代の開かれた皇室にふさわしい軽快かつアバンガルドなデザイン」
小椋「・・・・」
木下「どうなさいました?」
小椋「そこへなおれ、非国民めっ」
木下「あーれー(ぞげっ)」
....その74へ続く(世に謳われし昂然の大器を此処に集めたり)